ヨンキナ、
チヨンキナ踊を、
けふの踊をひとをどり。
そなた待つとて、いそいそと、岡を上《のぼ》れば日が廻《まは》る、
雲も草木もうつとりと、
それかあらぬか、わがこころ円《まる》い真赤《まつか》な日が廻《まは》る。
チヨンキナ、チヨンキナ、
チヨンキナ踊を、
岡の草木がひとをどり。
そなた待つとて、ピンのさき池に落せばくるくると、
生きて駈けゆく水すまし、
それかあらぬか、投げ棄てたマニラ煙草の粉《こ》の光。
チヨンキナ、チヨンキナ、
チヨンキナ踊を、
池の面《おもて》がひとをどり。
そなた待つとて、夏帽子投げて坐れば野が光る
ほけた鶯すみればな、
それかあらぬかたんぽぽか、羽蟻飛ぶ飛ぶ、野が光る。
チヨンキナ、チヨンキナ、
チヨンキナ踊を、
楡《にれ》の羽蟻がひとをどり。
そなた待つとて、そはそはと風も吹く吹く、気も廻る。
空に真赤な日も廻る。
それかあらぬか、足音か、胸もそはそは気も廻る。
チヨンキナ、チヨンキナ、
チヨンキナ踊を、
白い日傘がひとをどり。
[#ここから2字下げ]
* チヨンキナの繰返しはやはりチヨンキナの囃子にて歌ふ。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から3字上げ]四十五年五月
薄荷酒
「思ひ出」の頁《ペエジ》に
さかづきひとつうつして、
ちらちらと、こまごまと、
薄荷酒を注《つ》げば、
緑はゆれて、かげのかげ、仄かなわが詩に啜り泣く、
そなたのこころ、薄荷ざけ。
思ふ子の額《ひたひ》に
さかづきそつと透かして、
ほれぼれと、ちらちらと、
薄荷酒をのめば、
緑は沁《し》みて、ゆめのゆめ、黒いその眸《め》に啜り泣く、
わたしのこころ、薄荷ざけ。
[#地から3字上げ]四十五年四月
白い月
わがかなしきソフイーに。
白い月が出た、ソフイー。
出て御覧、ソフイー。
勿忘草《わすれなぐさ》のやうな
あれあの青い空に、ソフイー。
まあ、何《な》んて冷《ひや》つこい
風《かぜ》だらうねえ、
出て御覧、ソフイー。
綺麗だよ、ソフイー。
いま、やつと雨がはれた――
緑いろの広い野原に、
露がきらきらたまつて、
日が薄《うつ》すりと光つてゆく、ソフイー。
さうして電話線の上にね、ソフイー。
びしよ濡れになつた白い小鳥が
まるで三味線のこまのやうに留つて、
つくねんと眺めてゐる、ソフイー。
どうしてあんなに泣いたの
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