。さうして面会日の札まで誰かが盗んで行つて了つた。
 わたくしはここへ越して来てから一晩と落ちついた自分の時間を持つたことはない。
 こんな事が続いたら、わたくしは滅びるほかはないのだ。仕事ができないくらゐ苦しいことはない。病気になりさうだ。
 つくづく小田原の壊はれた木兎の家に帰りたくなつてゐる。



底本:「日本の名随筆 別巻6 書斎」作品社
   1991(平成3)年8月25日第1刷発行
底本の親本:「白秋全集 第一三巻」アルス
   1930(昭和5)年6月
入力:土屋隆
校正:noriko saito
2006年8月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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