減をしなければ思うように訳せなかった。それが次第に厳格な逐次訳でどうにか納めていけるようになった。で、この中には少数の手加減を入れた例外がある。
それから、Rain, rain go to Spain というような音韻上の引っかけことばのものは訳しようとするのがそもそもの無理であるから訳しなかった。「雨、雨、スペインへ」では原謡のおもしろみがなくなるからである。日本でなら「雨、雨、安房《あわ》へ」というふうにあ[#「あ」に傍点]の韻で掛けてゆくべきものである。
Baa, Baa, Black Sheep というようなのも困った。すべてBでいっているのであるが、日本の黒羊のく[#「く」に傍点]にBは掛からない。かといって、「くうくう黒羊」でも羊のなき声は出ない。「なけなけ、黒羊」では意味だけのものになる。意味だけのものでは、ほんとうの訳にはならないのだ。しかたがなければその言語のまま生きさせるほかに道がない。
「やぶ医者のフォスタアさんが、グロオスタアへいって」というふうのものはこれもことばの上の引っかけであるが、固有の名詞でそのままやれるから、そのとおりにしておいた。「お医者さまの
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