へでた。
もそっとおわんがしっかりさえしてりゃ、
ここらでこの歌もきれやしまい。
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 気ちがい家族

気ちがいの御亭主に、
気ちがいのおかみさん、
気ちがい小路《こうじ》に住んで、
三つ児をうんで、
どの児もどの児も気がちごた。
 お父さんが気ちがい、
 お母さんが気ちがい、
 みんな子供が気ちがい。
気ちがいうまにのって、
いっしょくたに、みんなのって、
まっくら三宝《さんぼう》に、かけてった。
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 ちっちゃなだんなさま

あたいのちっちゃなだんなさま、
拇指《おやゆび》よりかもまだちさい。
こまめのおつぼにちょいといれて、
どんがどんがはやしてせりあげよ。

ちっちゃなおうまも買《こ》うてあぎょ。
そして、とっととかけさして、
たづなとらせて、くらおいて、
さあさ、ねりだそ、町の外。

かわいいくつした結《いわ》くなら
それにはちっちゃなとめ金具《かなぐ》、
ちっちゃなお鼻をふきゃるには
かわいいちっちゃなハンカチフ。
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 一つのたるに

一つのたるに、三人はいり、
どんどこ、どんどこ、すっどんどん。
あいつらだれだ。
肉屋にパン屋、
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