家がひとつ。
ちいさな白《しィろ》いお家の中に、
ちいさな心《ハアト》がただひィとつ。
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 ボンベイのふとっちょ

ひとりふとっちょがボンベイにござった。
ある日、日なたでたばこのんでござった。
そこへ、ついときたはしぎという小鳥よ、
パイプひっさらってまたふいととんじまう。
そこでじれました、ボンベイのふとっちょ。
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 六ペンスの歌

うたえうたえ、六ペンスの歌を。
衣嚢《かくし》にゃごほうびの麦がある。
二十四匹《にじゅうしひき》の黒つぐみ、
焙《ほう》じこまれて、パイの中。

パイがはがれたそのときに、
すぐに小鳥がうたいだす。
もともと王さまにそなえます
きれいなお皿じゃ、そりゃないか。

  『王さまは会計院で、
   お金の御勘定《かんじょう》。

   おきさきゃお居間で、
   パンと蜜《みつ》をめしあがり。

   女中さんはお庭で、
   衣裳《いしょう》をせっせとほしている。

   そこへ小鳥が一羽とんでまいって、
   つんとはじきました、女中さんのお鼻』
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 一時

いっちく、たっちく、おうやおや。
ねずみが時
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