《かいじょう》を、下《した》を、
おくさまのへやで、
じじいにであった、
そのじじいどうした、
不信心《ぶしんじん》ないやなやつ、
そこで、そいつの左の足をすくって、
すってんころりとあがり段からころがした。
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火の中に
火の中に石脂《タアル》、
樫《かし》の中にはすっからかん。
泥《どろ》の中《なァか》にうなぎ、
粘土の中にはすっからかん。
やぎが蔦《つた》くう。
めうまが麦くう。
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火ばしの一対
足なが、せむし、
小頭《こあたま》、眼《め》なし、
それなァに。
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お月さま光る
おじょっちゃん、おぼっちゃん、外へでてあすぼ、
お月さま光る、昼のようにあかる。
口笛ふいてきなよ、よばわってきなよ。
上々きげんででてきなよ。でなけりゃおことわり。
夕飯《ゆうめし》うっちゃって、石盤《せきばん》うっちゃって、
街へでてきなよ、あそびなかまがまっているに。
ときの声あげて、とんだりはねたりしておいで、
お月さまの光にぐるぐるまわっておどりましょう。
あがり段にのぼり、石垣とびおりて、
ころがしゃお銭《ぜぜ》がなにもかもくれる。
牛乳が買える、はちのみつが買える、
半時《はんとき》たたずにおまんじゅうが買える。
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おもちゃのうま
はいしどうどう、
おうまにのって、
チャアリング・クロスへいてみよか。
きれいなレディが、
白いうまにのって、
お手々に指輪、
おくつに鈴つけ、
ちんからちんからとおる、
それみにいこか。
ちんからちんから、りんりん。
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なけなけ
なけなけ、赤ちゃん、
眼玉にお指をつっこみな。
そしてお母《か》さんへ行ったらば、
あれはぼうやじゃないとおいい。
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北風ふけば
北風ふけば、
雪がふろ、
かわいそなこまどりはどうするぞ。
かわいそなものね。
お倉の中《なァか》の刈麦《かりむぎ》に、
もゥぐりこゥぐり、ぬくもろぞ、
お羽根の裏《うゥら》に首まげて。
かわいそなものね。
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めくら鬼
めくら鬼、めくら鬼、
めん眼《め》がみえないごぞんじか、
くるくる三遍まァわって、
わたしをつかめてごらんなね、
こォろぶなころぶな、
だれでもいいからとっつかめ。
わたしはこっちだよ、とっつかまえたとおおもいか。
笑止《しょうし》笑止《しょうし》、めくら鬼。
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お山の大将
みろやい、ひととび、
おりゃここだ、
だァれもこれまい、
おれひとり。
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上へいった
上へいった、いった、いった。
下へいった、いった、いった。
前へいった、うしろへいった。
ぐるぐるぐるとまァわった。
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みんなして森へ
(五つの指のさきをつついてうたう)
一 このぶた申す。みんなして森へ。
二 このぶた申す。なにしに森へ。
三 このぶた申す。お母さんにあいに。
四 このぶた申す。そしてそしてどうするの。
五 このぶた申す。かじりついてキッスしよ、キッスしよ。
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このぶた、ちびすけ
(おなじく)
一 このぶた、ちびすけ、市場《いちば》へまいった。
二 このぶた、ちびすけ、お留守番でござる。
三 このぶた、ちびすけ、牛肉あぶった。
四 このぶた、ちびすけ、なァんにももたなんだ。
五 このぶた、ちびすけ、ういういうい。
いっしょにお家《うち》へ、よいとこらしょ。
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おくつをはかしょ
(五つの足をつつきながらうたう)
一 おくつをはかしょ、こうまにはかしょ。
二 めうまにはかしょ。
三 ふくろを背《せな》にのしょ。
四 しょったか、みよよ。
五 しょったら、麦よ。
しょわなきゃ、脳みそぶっつゥぶしょ。
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ながい尾のぶたに
ながい尾のぶたに、
みじかい尾のぶたに、
尾のないぶたに、
めぶたにおぶた、
まきじっぽのこぶた。
あァがった、あがった
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甲 あァがった、あがった、はしご段を二つ。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 あァがった、あがった、はしご段を四つ。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 おへやへはいった。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 お窓の外《そォと》をなァがめた。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 そこでおさるをみィつけた。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
ワン、ツウ、スリイ、
フォア、ファイブ
ワン、ツウ、スリイ、フォア、ファイブ、
魚《さかな》をピンピンつかまえた。
なぜそれにがした。
指をかんだ、手をかんだ。
どっちの指かァんまれた。
この右の小指よ。
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顔あそび
殿《との》
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