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 一首の意は、おれも漸《ようや》く年をとって体も衰えてしまったが、今しげしげと通わなくとも、長年|狎《な》れ親しんだお前のことが思出されてならない、という程の意で、「君」というのを女にして、男の歌として解釈したのであった。無論民謡的にひろがり得る性質の歌だから、「君」をば男にして女の歌と解釈することも出来るが、やはり老人の述懐的な恋とせば男の歌とする方が適当ではなかろうか。さすれば、女のことを「君」といった一例である。それから、「白細布の袖の」までは「狎れ」に続く序詞であるが、やはり意味の相関聯するものがあり、衣の袖を纏《ま》き交《かわ》した時の情緒《じょうしょ》がこの序詞にこもっているのである。
 万葉に老人の恋を詠んだ歌のあることは既に前にも云ったが、なお巻十三には、「天橋《あまはし》も長くもがも、高山も高くもがも、月読《つくよみ》の持《も》たる変若水《をちみづ》、い取り来て君に奉《まつ》りて、変若《をち》得しむもの」(三二四五)、反歌に、「天《あめ》なるや月日の如く吾が思《も》へる公《きみ》が日にけに老ゆらく惜しも」(三二四六)があり、なお、「沼名河《ぬながは》の
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