る何時《いつ》よりか見《み》ぬ人《ひと》恋《こ》ふに人《ひと》の死《しに》せし 〔巻十一・二五七二〕 作者不詳
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 一首の意。嘘をおっしゃるのも、いい加減になさいまし、まだ一度もお逢いしたことがないのに、こがれ死《じに》するなどとおっしゃる筈《はず》はないでしょう。何時の世の中にまだ見ぬ恋に死んだ人が居りますか、というような意味のことを、こういう簡潔な古語でいいあらわしているのは実に驚くべきである。「偽《いつはり》も似つきてぞする」は、偽をいうにも幾らか事実に似ているようにすべきだ、余り出鱈目《でたらめ》の偽では困る、というようなことを、斯う簡潔にいうので日本語の好いところが遺憾なく出ているのである。一首全体が、きびきびとした女の語気から成り皮肉のような言葉のうちに男に寄ろうとする親密の心をも含めて、まことに珍しい歌の一つである。結句、古鈔本中、ヒトノシニスルの訓あり、略解《りゃくげ》でヒトノシニセシと訓《よ》んだ。第四句コフルニ(沢潟《おもだか》)の訓がある。

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早《はや》行《ゆ》きて何時《いつ》しか君《きみ
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