け雁《かり》がね聞《き》きつ春日山《かすがやま》もみぢにけらし吾《わ》がこころ痛《いた》し 〔巻八・一五二二〕 穂積皇子
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 穂積皇子《ほづみのみこ》の御歌二首中の一つで、一首の意は、今日の朝に雁の声を聞いた、もう春日山は黄葉《もみじ》したであろうか。身に沁《し》みて心悲しい、というので、作者の心が雁の声を聞き黄葉を聯想しただけでも、心痛むという御境涯にあったものと見える。そしてなお推測すれば但馬皇女《たじまのひめみこ》との御関係があったのだから、それを参考するとおのずから解釈出来る点があるのである。何《いず》れにしても、第二句で「雁がね聞きつ」と切り、第四句で「もみぢにけらし」と切り、結句で「吾が心痛し」と切って、ぽつりぽつりとしている歌調はおのずから痛切な心境を暗指するものである。前の志貴皇子の「石激る垂水の上の」の御歌などと比較すると、その心境と声調の差別を明らかに知ることが出来るのである。もう一つの皇子の御歌は、「秋萩は咲きぬべからし吾が屋戸《やど》の浅茅が花の散りぬる見れば」(巻八・一五一四)というのである。なお、近くにある、但馬皇女の、「言《こと》し
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