的に詠んだ。そして憶良は仏典にも明るかったから、自然にその影響がこの歌にも出たものであろう。「なにせむに」は、「何かせむ」の意である。憶良の語句の仏典から来たのは、「古日《ふるひ》を恋ふる歌」(巻五・九〇四)にも、「世の人の貴み願ふ、七種《ななくさ》の宝も我は、なにせむに、我が間《なか》の生れいでたる、白玉の吾が子|古日《ふるひ》は」とあるのを見ても分かる。七宝は、金・銀・瑠璃《るり》・※[#「石+車」、第3水準1−89−5]※[#「石+渠」、第3水準1−89−12]《しゃこ》・碼碯《めのう》・珊瑚《さんご》・琥珀《こはく》または、金・銀・琉璃《るり》・頗※[#「犂」の「牛」に代えて「木」、第4水準2−14−90]《はり》・車渠《しゃこ》・瑪瑙・金剛《こんごう》である。そういう仏典の新しい語感を持った言葉を以て、一首を為立《した》て、堅苦しい程に緊密な声調を以て終始しているのに、此一首の佳い点があるだろう。けれども長歌に比してこの反歌の劣るのは、後代の今となって見れば言語の輪廓として受取られる弱点が存じているためである。併し、旅人の讃《ホムル》[#レ]酒[#(ヲ)]歌にせよ、この歌にせ
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