の戯謔か、――悲痛の感に堪へないのである。
透谷は要するにその素質に於て明治過去文壇最大の詩人である。透谷逝いて彼の詩魂のにほふところ、島崎氏の若々しい胸の血潮は湧き立つたことであらう。「若菜集」の新聲はかくして生れ出たのである。若き世の歌はここに始めて蘭湯《らんたう》の浴より出でゝ舊き垢膩《くに》の汚《けがれ》を洗ひ棄てたのである。
[#地付き](明治四十年十月「文章世界」〈文話詩話〉號)
底本:「明治文學全集 69 島崎藤村集」筑摩書房
1972(昭和47)年6月30日初版第1刷發行
初出:「文章世界 〈文話詩話〉號」
1907(明治40)年10月
入力:広橋はやみ
校正:川山隆
2008年5月16日作成
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