らずあります。その中《うち》でも名高《なだか》いものには、ドレスデンの繪畫博物館《かいがはくぶつかん》、ミュンヘンの繪畫館《かいがかん》、同彫刻館《どうちようこくかん》などを擧《あ》げなくてはなりますまい。ミュンヘンには、また自然科學《しぜんかがく》、(理科《りか》)に關《かん》する方面《ほうめん》の博物館《はくぶつかん》で、世界中《せかいじゆう》で一番《いちばん》よく整《とゝの》ふたものが近頃《ちかごろ》建《た》てられました。ドイツ博物館《はくぶつかん》といふのがそれです。この博物館《はくぶつかん》には電車《でんしや》のことでも、汽車《きしや》のことでも、飛行機《ひこうき》のことでも、潜水艦《せんすいかん》のことでも、らぢお[#「らぢお」に傍点]のことでも、また鑛山《こうざん》のこと、印刷《いんさつ》のこと、その他《ほか》なんでも理科《りか》の學問《がくもん》を應用《おうよう》した爲事《しごと》に關《かん》する品物《しなもの》を、それ/″\その發達《はつたつ》の順序《じゆんじよ》に應《おう》じて竝《なら》べてあります。そして、見物人《けんぶつにん》が自分《じぶん》で隨意《ずいい》にぼたん[#「ぼたん」に傍点]を押《お》すときは、電氣仕掛《でんきじか》けに通《つう》じて機械《きかい》が動《うご》き出《だ》し、見物人自身《けんぶつにんじしん》で實驗《じつけん》が自由《じゆう》に出來《でき》るようになつてをります。ですからもし博物館《はくぶつかん》を詳細《しようさい》に見《み》て行《い》つたならば、中學校《ちゆうがつこう》や大學《だいがく》などに入學《にゆうがく》しなくとも、ひとりで學問《がくもん》が出來《でき》るであらうと思《おも》はれるぐらゐに、すべてに完備《かんび》してゐるのにはまったく驚嘆《きようたん》せられます。
[#「第九圖 ベルリン博物館ベルガモン彫刻室」のキャプション付きの図(fig18371_10.png)入る]
オーストリアのウインの町《まち》にも、ベルリンよりも一《いつ》そう立派《りつぱ》な博物館《はくぶつかん》が二《ふた》つもあります。イタリイに行《ゆ》きますと、ローマにはバチカン博物館《はくぶつかん》を始《はじ》め、古美術品《こびじゆつひん》を陳列《ちんれつ》した良《よ》い博物館《はくぶつかん》が二《ふた》つ三《み》つありますし、ネープルスやフローレンス、ミランその他《ほか》にも大博物館《だいはくぶつかん》が無數《むすう》にあります。イタリイは古《ふる》い時代《じだい》に文化《ぶんか》の榮《さか》えた國《くに》でありますから、これ等《ら》の博物館《はくぶつかん》に收《をさ》めてあるものには秀《すぐ》れた品《しな》が多《おほ》く、とうてい他《た》の國々《くに/″\》では見《み》られないものがたくさんあります。毎年《まいねん》イタリイを旅行《りよこう》する人《ひと》は非常《ひじよう》に多《おほ》いのでありますが、イタリイ滯在《たいざい》の半《なかば》は、博物館《はくぶつかん》で過《すご》し、あとの半《なかば》はローマだとかポムペイだとかの舊蹟《きゆうせき》を巡遊《じゆんゆう》するといふあり樣《さま》であります。以上《いじよう》の他《ほか》、ヨーロッパではスペインのマドリッド、デンマルクのコウペンハーゲン、スェーデンのストックホルムといふような都市《とし》には、イギリスやドイツやフランス等《とう》にもあまり劣《おと》らない博物館《はくぶつかん》があつて、よし國《くに》は小《ちひ》さくても博物館《はくぶつかん》や圖書館《としよかん》だけは、大國《だいこく》と肩《かた》を竝《なら》べることが出來《でき》るくらゐのものがあります。軍艦《ぐんかん》や兵隊《へいたい》では競爭《きようそう》は出來《でき》なくとも、かうしたもので負《ま》けないで行《い》かうといふのです。ロシヤにも昔《むかし》から大《おほ》きい博物館《はくぶつかん》がありますが、モスコーやレニングラードにある博物館《はくぶつかん》は、ヨーロッパ第一流《だいゝちりゆう》のものに比《くら》べてけっして劣《おと》らないといはれてをります。トルコの都《みやこ》にも立派《りつぱ》な博物館《はくぶつかん》があつて、なか/\有名《ゆうめい》であります。
また、これはヨーロッパではありませんが、アフリカのエヂプトのカイロには、古《ふる》いエヂプトの遺物《いぶつ》ばかりを竝《なら》べてある大《おほ》きな博物館《はくぶつかん》があります。ぴらみっと[#「ぴらみっと」に傍点]や古《ふる》い墓《はか》から出《で》たいろ/\の寶物《ほうもつ》が一《いつ》ぱいありまして、今《いま》から四五千年前《しごせんねんまへ》の王樣《おうさま》のみいら[#「みいら」に傍点]も、そのまゝ見《み》
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