当だということをあきらかにするだろうところの一つの行動を私はとります。私は幸せ。あなたの愛を感じ、あなたを愛する自分の気持も誰にだってほこれるものだから。だけど、唯それを感じてもらえないことは、不幸せかも知れない――というような手紙です。ドビュッシーの海をやってました。私は、青白き大佐に、契約破棄の文章をかきました。それは糊づけしないで、自宅へ帰って、契約書をいれるべく、心得てました。それから、富士正晴氏にかきました。私の原稿二つ、彼の手許にあるのは、発表しないでほしい、ということ。それから、私の友人の令嬢へ、やさしい手紙を。それだけ書き終えた時、喫茶店の主人が、いたずらがき帳をもって来てくれました。何かかいて下さいと。私はホットウイスキーをのんでいたし、多少、私の死と結びつけて考えられたので、いたずら書きをしました。いつもの皿に絵をかく調子で、さらさらと、海の中のと、花鳥の群とを。八時十五分頃、そこを出て、青白き大佐が、九時にまっているという喫茶店へ自動車をとばし、今夜は会いませんという置手紙をして、鉄路のほとりと会うところへ行きました。そこは緑の島の仕事場なのです。然も、私が依頼し
前へ 次へ
全64ページ中28ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
久坂 葉子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング