さえ冷静に、その奇妙さを分解したりもしました。芝居が終り写真をうつしたりしました。私はその時既に死を決していたのです。決して、単なるセンチメンタルではない。自分で自分の犯した罪を背負いきれなくなり、もうこれ以上苦しむのはいやだと思ったのです。その時。私は青白き大佐と、少しのみにゆきました。ふぐなどを食べ、その時はもう静かな気持で居たのです。あくる朝、芝居の後始末でごたごたした日を送り、その翌日、私は夜おそく、作曲家の友人から電話をもらったのです。鉄路のほとりの手紙をうけとっているということです。私は、翌日届けてくれるようにつげました。でもその手紙に期待はしなかったのです。いろんな事情で、私はやはり当然自分を死なせるべきだという気持だったので。でも、それでも早く手紙がみたいのでした。机のあたりを整理して、金銭の(借金)勘定もし、焼却するものもまとめたりしました。私の友人のある令嬢が訪ねて来たのは、その日でした。私の表情から何かをとったのでしょう。いつもなら、笑顔でむかえるのに、むっつりしているし、彼女の話はうわの空だったのですから。彼女は、私が変った、とかそんなことを云ったようです。私は
前へ
次へ
全64ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
久坂 葉子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング