、芝居の手伝いしたことだけで、いいんだ――彼は私にぶっつけるように云ったのです。二人が会ったのは、久方ぶりでした。だから私は、その前日に彼へ速達を出しているのです。とても不安な気持。出来るだけ早く会いたいということ。そして会ったその時、何とお互いにもつれてしまったのです。彼は帰ると云いました。私は泣きじゃくりながらひきとめました。駅までゆき、猶もひきとめました。丁度、作曲家の友人に出会い、彼もひきとめてくれたのです。喫茶店へはいりました。私はもうすっかり精神が錯乱しちまって、何を云ったのかわからない。一人で喋ったのです。
もう、つながりがないのだ、と彼が云ったからです。私は、がく然としたのです。今こそ、本当に緑の島とのことも解決されて、彼に何もかも奪ってほしい気持になってたのですから、その気持が強かったからこそ、私は彼の言葉におどろき、何とかして、愛情をよびもどそうとあせったのです。彼は、私の目に真実がないのだと云いました。そうだったかも知れない。私は、心のある部分で、緑の島を愛し、それから、安楽椅子をちゃんとつくったりしていたのだから。それは青白き大佐なんだ。痛ましかった。私のお喋
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