じて逢わなかった。それを無理に頼んでやっと逢ってもらった。孟は入っていって婿としての礼を執《と》った。祭酒はひどく怒って、孟を軽薄な男ではないかと疑った。孟は人ばらいを頼んで、精しくその事情を話した。祭酒は信じないで、人をやって十一娘を探さしたが、孟のいったとおりであるからひどく喜んだ。そこでそっと孟を戒めて、だれにもいってはいけない、禍《わざわい》が起るかも解らないからといった。
 二年して彼の縉紳《しんしん》は権門に賄賂《まいない》したことが知れて、父子で遼海《りょうかい》の軍にやられたので、十一娘ははじめて里がえりをした。



底本:「聊斎志異」明徳出版社
   1997(平成9)年4月30日初版発行
底本の親本:「支那文学大観 第十二巻(聊斎志異)」支那文学大観刊行会
   1926(大正15)年3月発行
入力:門田裕志
校正:松永正敏
2007年8月12日作成
2008年10月5日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さ
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