下さるのですか。」
 マルコの母親は病気にかかってメキネズの立派なやしきにねていました。ところがメキネズは思いがけずブエーノスアイレスから遠くへ出かけねばならなくなりコルドバへきたのでした、その時母親は腫物が体の内に出来たので外科のお医者さんにかかるためツークーマンに見てもらっていたのでした。けれども大変な重い病気だったのでどれだけたってもなおりませんでした。それで手術をしてもらうということになりました。けれども母親は
「わたしはもうこらえる力がありません。手術のうちに死んでしまいます。どうかこのまま死なせて下さい。わたしはもう苦しまずに死にとうございます。」
 といいました。
 主人と奥さんは「手術をうけると早くなおるから、もっと元気を出しなさい、子供たちのためにも早くなおらなければなりません。」としずかにいってきかせました。
 母親はたださめざめと泣きだしました。
「おお子供たち、みんなはもう生きていないだろう。わたしも死んでゆきたい。旦那様、奥さま、ありがとうございます。何かとお世話になりましてありがとうございます。わたしはもうお医者さまにかかりたくありません。わたしはここで死に
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