は》れ晴れとしていたかの女のかわいらしい顔は、いまは悲しみにしずんで、なみだがほおを伝《つた》っていた。
まもなくわたしたちはうちに着いた。大きな門があいていて、わたしたちはすぐと花畑の中にはいった。
なんというありさまであろう。ガラスというガラスは粉《こな》ごなにこわれていた。花とガラスのかけらとひょうがいっしょに固《かた》まって、あれほど美しかった花畑に降《ふ》り積《つ》もっていた。なにもかもめちゃめちゃにこわされた。
お父さんはどこへ行ったのだろう。
わたしたちはかれを探《さが》した。やっとかれを大きな温室の中で発見した。その温室のガラス戸は残《のこ》らずこわれていた。かれは地べたをうずめているガラスのかけらの中にいた(手車の上にこしをかけてというよりは、がっかりしてこしをぬかしていた。アルキシーとバンジャメンはそのそばにだまって立っていた。
「ああ、子どもたち、かわいそうに」と、かれはわたしたちがガラスのかけらの上をみしみし歩く音に気がついて、こうさけんだ。
かれはリーズをだいてすすり泣《な》きを始めた。かれはなにもほかに言わなかった。なにを言うことができようぞ。これ
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