…それがいま自分の一家をふしぎそうにながめるばかりで、心のうちにはなにも言うことがない。一言《いちごん》の愛情《あいじょう》のことばが出て来ないのである。わたしはけものなのであろうか。わたしがもし両親をこんなびんぼうな小屋でなく、りっぱなごてんの中で見いだしたなら、もっと深い愛情が起こったであろうか。わたしはそれを考えてはずかしく思った。
そう思ってわたしはまた母親のそばへ寄《よ》って、両うでをかけてしたたかかの女のくちびるにキッスした。まさしくかの女はなんのつもりで、わたしがこんなことをするのかわからなかった。だからわたしのキッスを返そうとはしないで、きょときょとした様子でわたしの顔をながめた。それから夫《おっと》、すなわちわたしの父親のほうへ向いて肩《かた》をそびやかした。そしてなにかわたしにわからないことを言うと、夫はふふんと笑《わら》った。かの女の冷淡《れいたん》と、わたしの父親の嘲笑《ちょうしょう》とが深《ふか》くわたしの心を傷《きず》つけた。
わたしの愛情《あいじょう》はそんなふうにして受け取らるべきものでないとわたしは思った。
「あれはだれだ」と父親はマチアを指さしな
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