くるりとうしろを向いて、部屋を飛び出して行ってしまいました。ほかの子達がかえって泣き出しましたけれども、セエラは子供達の泣声になどは耳も藉《か》さない風でした。あの子はまるで生きている以上、こんなことになるのがあたりまえだ、というような顔をしていました。あの子が何にもいってくれないので、私は変な気持になって困りました。誰だって、ふいにあんなことをいわれれば、何とかいわずにはいられないはずですものね。」
セエラが、二階の部屋の中で何をしていたか、セエラ以外には誰にもわかりませんでした。セエラ自身も、その時はほとんど夢中でした。ただ彼女は、しきりに部屋の中を歩き廻って、「お父様はおなくなりになったのよ。お父様はおなくなりになったのよ。」と、自分にいい聞かしていたのは憶えています。そういう声も自分の声とは思えないほどでしたが、一度などは椅子の上からじっとセエラを見守っているエミリイの前に立って、狂わしそうにいいました。
「エミリイちゃん、お前わかって? パパがおなくなりになったの、わかって? パパはね、遠い遠い印度で、おなくなりになったのよ。」
セエラが呼ばれてミンチン先生の部屋に来た時
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