るのを聞いていると、だんだん鼠を見てみたくなりました。彼女は寝台《ベット》の端にのり出して来て、セエラが壁の腰板にある抜穴のそばに跪くのをじっと見ていました。
「そ、その鼠、ふいに駈け出して来て、寝台《ベット》の上に上って来たりしやアしなくって?」
「大丈夫。私達と同じようにお行儀がいいのよ。まるで人間のようだわ。さ、見てらっしゃい。」
セエラは聞えるか聞えないほどに、口笛を吹きました。何か呪文を称《とな》えるように、四五たび吹きました。すると、それを聞きつけて、灰色の頬鬚を生やした鼠が、眼をきらきらさせて、穴から顔を出しました。セエラがパン屑をやると、メルチセデクは静かに出て来て、それを食べました。彼は少し大きな屑を持って、小忙《こぜわ》しげに帰って行きました。
「ね、あれは、おかみさんや子供達に持ってってやるのよ。えらいでしょう。自分は小さいのだけ食べるのよ。帰って行くと、家《うち》のもの達が悦《よろこ》んで、ちゅうちゅう大騒ぎよ。ちゅうちゅうにも三通りあるのよ、子供のちゅうちゅうと、メルチセデク夫人のちゅうちゅうと、それからメルチセデク君のちゅうちゅうと。」
アアミンガアドは
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