キイの泣声を聞くと、よけいひもじくなってくるの。あの子は私よりもひもじいのよ。」
「あら、私、ちっとも気がつかなかったなんて!」
「私も、あなたにさとられたくなかったのよ。あなたに知られると、私乞食になったような気がするからいやだったの。もう見たところは乞食も同じですけどね。」
「そんなことないわ。着物はちょっと変だけど、乞食になんて見えるものですか。お顔が第一、乞食とは違うわ。」
「いつか私、小さい男の子から施しを受けたことだってあるのよ。」セエラは自分を蔑《さげす》むように笑って、衿の中から細いリボンを引き出しました。「ほら、これよ。私の顔が物欲しそうだったからあの坊ちゃんもクリスマスのお小遣を、下さる気になったのよ。」
 その銀貨を見ると、二人は眼に涙をためながら、笑い出しました。
「その坊ちゃんて、だれなの?」
「可愛い坊ちゃんだってよ。大屋敷の子供の一人で、足がまるまるしてるのよ。きっとあの子は自分は贈物やお菓子の籠をたくさん持っているのに、私は何一つ持っていそうもないと思ったのね。」
 アアミンガアドは、[#「は、」は底本では「、は」]ふと何かを思いついて、ちょっと飛び下りました。
「セエラさん、私莫迦ね、今まであのことに気がつかないなんて。」
「あのことって。」
「いいことなの。さっき伯母様から、お菓子の一杯つまった箱が届いたのよ。私お腹が一杯だったし、本のことで悩んでいたので、手もつけずにおいたの。中には肉饅頭《ミイト・パイ》だの、ジャム菓子だの、甘パンだの、オレンジだの、赤葡萄酒《あかぶどうしゅ》だの、無花果《いちじく》だの、チョコレエトだのが入ってるのよ。私ちょっと取りに行ってくるわ。ここで食べましょうよ。」
 セエラは食物《たべもの》の話を聞くと、思わずくらくらしました。彼女はアアミンガアドの腕にしがみついて、
「でも、行って来られる?」といいました。
「来られるわよ。」アアミンガアドは戸の外に頭を出して、耳をすましました。「燈火《あかり》はすっかり消えてるわ。皆もう眠っちゃったのね。だから、そっと誰にもわからないように、そっと這って行って来るわ。」
 二人は手をとりあってよろこびました。セエラはふと、また眼をきらめかせていいました。
「アアミイ! ね、またつもり[#「つもり」に傍点]になりましょうよ。宴会だってつもり[#「つもり」に傍点]にね
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