話したことはないのですが、セエラについてなら、何でも詳しく語ることが出来ました。
「子供というものは、何とでも友達になるものでございますよ。私がそっと来て、ここから覗いておりますと、あの子は、雀や鼠まで手なずけているんでございますよ。ここの奴隷娘は、毎日あの子を慰めに来ます。こっそりあの子に会いに来る小《ちい》ちゃな子もございます。それから、その子よりは大きい子で、あの子の話を倦《あ》きもせず聞いている子も一人ございます。女主人などは、あの子をまるで非人《ペエリア》扱いにしていますが、でも、あの子は王族の血でもひいてるような挙止《ものごし》をしています。」
「君は、だいぶ詳しく知っているようだね。」
「あの子の生活なら、何でも毎日見て知っております。出かけて行くのも、戻ってくるのも、知っております。凍えていることも、ひもじいことも、夜中まで勉強していることも、知っております。子供達が忍んで来ると、あの子もうれしいと見え、ひそひそと話したり、笑ったりしています。病気にでもなったらすぐ判りますから、そんな時には、出来ることなら、来て看護してやりたいと思っております。」
「でも君、大丈夫かい? 誰か来やアしないかい? あの子がだしぬけに戻って来るようなことはないかい? 僕達が来ているのを見つけでもしたら、あの子はたまげてしまうだろう。すると、カリスフォドさんのせっかくの計画も、水の泡になるからね。」
ラム・ダスはそっと戸口に身をよせて立ちました。
「あの子の他、誰も来るはずはありません。今日は手籠を持って出て行きましたから、なかなか戻っては来ないでしょう。それに、ここに立ってさえいれば、誰の足音だって、梯子を登りきらぬうちに聞えるから、大丈夫です。」
「じゃア、しっかり耳を澄ましていてくれたまえ。」
秘書はそういうと、部屋の中を静かに歩き廻って、そこにあるものを手早く手帳に書き込みました。彼はまず寝台をおさえて、思わず声をあげました。
「まるで石だ。あの子のいない間に取りかえておかなければ。何か、特別の方法で持ち込むんだね。今夜は、とてもだめだろうが。」
彼は汚れた夜具や、火のない炉などを見廻り、それらのものを書きこんだ一枚を手帳から破り取って、ポケットに入れました。
「だが、妙なことを始めたものだね。誰がこんなことをするといい出したんだい?」
「実は、私が初めに思
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