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問『いかなる種類の人が最も理想に近いか?』
[#ここで字下げ終わり]
真の仁者[#「真の仁者」に白丸傍点]、真の哲人[#「真の哲人」に白丸傍点]――真の仁者とは、いつもその同胞の幸福と進歩とに、貢献すべく心懸けて居る、まことの人物、まことの神の子である。又《また》真の哲人とは、知識の為めに知識を愛する、これも亦《また》まことの人物、まことの神の子である。前者は人種、土地、教理、名称等の相違に留意することなく、その博大なる胸裡《きょうり》に、地上一切の人類を包擁《ほうよう》せずんば止まぬ。彼は対者の意見などには頓着せぬ。彼はただ対者の欠陥を察し、これに智慧の光を注ぐことを以《もっ》て、畢生《ひっせい》の念願とする。それが真の仁者である。が、世には往々《おうおう》仁者の偽物がある。それ等は自己に迎合《げいごう》阿附《あふ》する者のみを愛し、これに金品を与えて虚名《きょめい》を博すべく努力する。
それから真の哲人――彼は決していかなる学説にも捕われない。又いかなる宗教宗派のドグマにも拘泥しない。そしていやしくもそれが真理であり、科学的の事実でさえあれば、一切の先入的偏見
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