かったであろうし、またおよそ何物かが私に欠けているということがなかったであろう。なぜなら、その何らかの観念が私のうちにある一切の完全性を、私は私自身に与えたであろうし、かようにして私自身は神であったであろうから。また私に欠けているものはたぶん、すでに私のうちにあるものよりも、得られるにいっそう困難であるかもしれないと考えてはならぬ。なぜなら、反対に、私、言い換えると思惟するもの、すなわち思惟する実体を無から生み出すことは、単にこの実体の偶有性であるところの、私の知らないところの多くのものの知識を得ることよりも、遥かにいっそう困難であったということは明瞭であるから。そして確かに、もし私がかのいっそう大きなもの、すなわち思惟する実体を生み出すという完全性を自分によって持ったとすれば、私は少くともかのいっそう容易に持たれ得るもの、すなわちこの実体の偶有性であるところの多くのものの知識を自分に拒まなかったであろう。のみならず私は神の観念のうちに含まれると私の知覚するものの他のいかなるものをも自分に拒まなかったであろう。なぜなら、たしかに、そのいかなるものも作り出されるにいっそう困難ではないと私
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