。なぜなら、私は蜜蝋がこの種の無数の変化を受け得ることを理解するが、しかし私はこの無数のものを、想像することによってはことごとく辿り得ず、従ってこの理解は想像する能力によっては仕遂げられないからである。さらに延長を有するとは、どういうことであるか。蜜蝋の延長そのものもまた知られていないのではあるまいか。なぜならそれは、溶解しつつある蜜蝋においていっそう大きくなり、煮沸せられるときにはさらにいっそう大きくなり、そして熱が増されるなら従ってまたいっそう大きくなるからである。そして蜜蝋が何であるかは、このものがまた延長において私がかつて想像することによって把握するよりも多くの多様性を容れると考えるのでなければ、正しく判断せられないであろう。従って私は、この蜜蝋が何であるかを実に想像するのではなく、ただ単に精神によって知覚する、ということを認めるのほかはないのである。私はこの特殊的な蜜蝋を言っている、なぜなら蜜蝋一般については、そのことはさらに明瞭であるから。しからば精神によってのほか知覚せられないこの蜜蝋は、いったいどういうものであるのか。疑いもなく、私が見、私が触れ、私が想像するものと同じ
前へ
次へ
全171ページ中48ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
デカルト ルネ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング