予見し得ると私は確信しないのであるからして、私はまずこれらの省察において、私がそれによって真理の確実な明証的な認識に到達したと思われるところの同一の思惟の作用を開陳し、もって私が説得せられたのと同じ根拠によっておそらく私は他の人々をも説得し得るかどうかを知りたいと思う。そして、かくして後、これらの省察を印刷に附せられる前に検討してもらうために送った幾人かの智能と学識とによってすぐれた人々の駁論に対して答えるであろう。というのは、この人々によってなされた駁論は十分に数多くまた種々様々であるので、そこにすでに触れられていない、少くとも或る重要な、他の駁論が容易に何人の心にも浮かばないであろう、と私は敢えて期待するのである。そしてかるがゆえに、私は読者に、右のすべての駁論及びこれに対する弁明を通読する労力をとられない以前に、この省察について判断を下されないように、繰り返しお願いする。
[#改丁]
以下の六省察の概要
第一省察においては、いかなるわけで我々はすべてのもの、とりわけ物質的なものについて、少くとも我々がこれまで有したものよりほかの、もろもろの学問の基礎を有しない間は
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