し、諸賢もまた、私の企ての動機を理解せられました場合、この書物を諸賢の保護のもとにおかれまするに極めて正当な理由を有せられるであろうと確信いたしますので、ここにこの書物を諸賢にいわば推薦いたしまするには、私がその中で追求しましたことを簡単に申し述べるにしくはないと考える次第であります。
私はつねに、神についてと霊魂についてと、この二つの問題は、神学によってよりもむしろ哲学によって論証せられねばならぬ諸問題のうち主要なるものであると、思慮いたしました。と申しますのは、われわれ信ある者には、人間の霊魂の肉体と共に滅びざること、また神の存在したまうことは、信仰によって信ずることで十分でありますとはいえ、たしかに、信なき者には、まず彼等にこの二つのことが自然的理性によって証明せられるのでなければ、いかなる宗教も、またほとんどいかなる道徳上の徳すらも説得せられうるとは、思われないからであります。そしてこの世においてはしばしば徳よりも悖徳にいっそう大きな報酬が供せられるのでありますから、もし神を畏れず、また来世を期待しないならば、利よりも正を好む者は少数であるでありましょう。もとより、神の存在の
前へ
次へ
全171ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
デカルト ルネ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング