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ランク 何がをかしいのです。あなたは社會がどういふものかご存じですか。
ノラ 社會なんてそんな面白くもないものに、何でかゝり合ふものですか。私の笑つたのは他のことですよ――とても面白いこと。ねえ先生、何ですか? あの銀行に使はれてる者は、みんなもうトル※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ルトの自由になるのですか。
ランク それがあなたにとても面白いことなのですか?
ノラ (微笑、鼻唄)いゝんですよ/\(室内を歩き廻る)さうなの、全くさう思ふと愉快ですよ、トル※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ルトが、そんなに多勢の人を自由にする身分になつたと思ふと(隱しから小さい紙袋を取出す)ランク先生、お菓子を召上りませんか?
ランク おうやおや――菓子? 菓子はこの家ぢや禁制品だと思つてたが?
ノラ さうです、けれどもクリスチナさんが持つて來てくれましたの。
リンデン あら! 私が?
ノラ いゝえ、よくてよ。びつくりしなくても。あなたは主人がこれを禁じたことをご存じなかつたんですもの。實はね、私の齒に惡いからといふんで、主人がそれを心配するので
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