ク 有難う。
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(ノラがマッチを差出す。ランクはそれで葉卷に火をつける)
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ランク それぢや、さようなら!
ヘルマー おゝ君、さようなら。さようなら。
ノラ よくお休みなさい、先生。
ランク ご好意有難う。
ノラ 私にも挨拶して下さいな。
ランク あなたに? 承知しました。お望みなら――よくお休みなさい。それから火のお禮も申しておきます。
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(ランクは、二人に頭を下げて挨拶して出て行く)
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ヘルマー (小聲で)あの男も、よつぽど飮んだやうだね。
ノラ (外のことに氣を取られてゐる體に)さうねえ(ヘルマーは隱しから一束の鍵を取出し、廊下の方へ行く)あなた、そこで何をなさるの?
ヘルマー 郵便箱を開けなくちや、一杯になつてゐて明日の朝の新聞が入らない。
ノラ 今夜これから仕事をなさるつもりですか?
ヘルマー 馬鹿をいふなよ――おや、どうしたんだらう、誰か錠前をいぢつたな。
ノラ 錠前を――?
ヘルマー さうに
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