間性は、文化的活動においてもそれの基本的構造をなさねばならぬ。ただ他者がこの場合客體であることによつて時間性はいくらかの變貌を見るのである。時間性の性格において觀られたる文化的生の具體的の姿は「歴史」である。それ故文化的時間は歴史的時間としてのみ成立つ。勿論その場合吾々は歴史といふ語を最も廣き包括的なる意義において理解する。かく解して歴史の内部的構造が更に立入つていかなる姿を示すかは吾々の課題に關はりなき問題として今は考察の外に置かねばならぬ。時間性の觀點より觀れば、例へば主體が個人であるか集團であるかなどの問題は度外視して差支がない。
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(一) 次の二書參看。Boll: Vita contempletiva. (1922) . ―― 〔W. Ja:ger〕: Ursprung und Kreislauf des philosophischen Lebensideals. (1928) .
(二) 「宗教哲學」一九節參看。
(三) 三種類の他者性については「宗教哲學」の諸處殊に四四節參看。
(四) 神祕主義については「宗教哲學」二一節以下、四五節、參看。
(五) 
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