る。
かくして成立つ愛の特質と構造とに關する考察の歩みを更に進めるに先だちて、吾々はここにしばし立止まつて、ここまでの吾々の理解が永遠性の問題の解決にいかなる成果を齎すであらうかを一瞥しよう。吾々が人間的主體より出發しそれを基準とし原理としてゐる間は、吾々は飽くまでも時間性に踏み留まりいつまでも永遠性に遠ざかつてゐる。古へより人は、或は主體自らに内在する本然の力を頼みとし、或は主體の自己主張を援助しそれの目的を達成せしめる世界乃至世界の根源としての最高存在者の力に縋つて、時間性と死とを克服する不死性の慰め豐かなる信念に到達しようとした。又或る人々、人類の最も卓れたる精神的指導者たちは、時間性とともにこの世の塵を拂ひ棄て、淨き純なるもののみの住む天上の世界に高く昇ることによつて、かくて無時間的永遠的なるものと愛の合一を遂げ又樂しむことによつて、自らも永遠性不死性を享受し實現し得ると信じた。しかしながらそれらの企圖それらの願望は悉く失敗と失望とを以つて報いられねば[#「報いられねば」は底本では「報いられぬば」]ならぬのである。眞の永遠性はアガペーにおいて又それによつてのみ達成される。絶對
前へ
次へ
全280ページ中202ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
波多野 精一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング